【最終話】正義の匂い

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村瀬は、 この最悪の事態に、 その処理を模索していた。 たとえ最後までシラを切り通したとしても、 この三人を黙って帰すわけにはいかない。 どんな手段を使ってでも口を封じなければ、 首相はおろか、 政治生命も断たれてしまう。 新民党幹事長村瀬国弘にとって、 三人の命と自らの職は、 天秤にかけるまでもない。 「さあ! ネタは上がっているんだ! 白状しやがれ!」 放っておけば、 もろ肌脱いで、 大見得切りそうな勢いの遠藤を制して、 宇崎は弘一の前に立った。 「・・・あの日、 君は私の妻をはねたあと、 第三京浜の川崎インターに向かった。 しかし、 恐れのあまり、 体の震えが止まらなかったのだろう、 気を静めるため、 インターの手前のラーメン屋に、 立ち寄っただろう?」 「あんまりおいしくなかったわね、 あそこのチャーハン。 少し焦げ臭かったわ」 弘一は、 何を言われているのかわからず、 宇崎と倫子を交互に見ていた。
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