僕がカーテンを閉めた理由

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その家には、なぜかは分からないけどカーテンがなかった。 かといって、雨戸は台風の時にしか閉めたことがない。 窓には、型板ガラスという表面がデコボコしたガラスを使っていたので、外から中を見ると、誰かいることは分かるけど、それが誰なのかは判別することは出来ないから、みんなプライバシーは守られていると思っていた。 そんな家で育ったから、当然僕はそれが普通なんだと思っていたのだ。 そんな僕たち山口家に大きな変化が起こったのは、半年前のことである。 僕が中学三年生になり、高校受験を控えることと、妹が中学生になったことで、さすがに年頃の男女が、いつまでも狭い自宅で同じ部屋はまずいだろうと、両親が判断をして、自宅を建て替えることにしたのだ。 そして僕は、生まれて初めて二階建ての住宅に住めることになり、あわせて念願だった自分一人だけの部屋を手に入れることが出来たので大満足だった。
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