僕がカーテンを閉めた理由

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工事が完了したのは7月の末で、夏休みの間に仮住まいのアパートから引越しをした。 引越しの日に、自分の部屋に荷物を運び入れた僕は、生まれて初めての自分の部屋をもらえたことと、二階に住めるということに感激し、テンションがマックスまで上がったことを、今でも昨日のことのように思い出せる。 そしてその日から三ヶ月が経った昨夜まで、新しい家では窓が透明ガラスだったにも関わらず、僕の部屋に付けられたカーテンは、ずっと房で縛られて、窓の両サイドに設置されたままだった。 朝は太陽の光で自然と目を覚ましたかったし、僕の部屋に二つある窓のうち、東の窓はすぐ隣の家と隣接していて、その家は西側に窓がないから覗かれないことと、 南の窓は、南隣が平屋の社宅の造りのままで、お婆ちゃんが一人で暮らしているし、その向こうは道路だけど距離はあるし、 さらにその向こうは小学校だから、夜は誰もいないってことで、カーテンを閉めなかったのだ。
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