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オレンジ色の光が教室を包み込む幻想的な時間、窓際の机に腰をかけて窓の外を眺める。部活に急ぐ生徒や帰宅して遊びに行く生徒。
そんな中、俺は教室で幼馴染を待っている。
渡したいものがあるから待っててくれって言われてこうして待っている……30分も。
「遅すぎだろ。」
誰に言うわけでもなく呟く。
どこからか騒々しい足音が聞こえてくる。視線を教室のドアに移すと、
勢い良くドアが開き、腰まである長い髪を乱した香奈がいた。
苦しそうに胸を押さえながら俺を見る。
「はあはあ……ごめん。」
まあ、走ってきた事だし怒らずにいようかな。
「謝らなくていいから、まずは息を整えな。」
香奈は申し訳なさそうに頷くと、深呼吸をしてゆっくりと呼吸を整え始めた。
香奈の顔を眺める。
栗色の長髪に細くて長い眉、クリッとした大きな目、小さい顔にはまだ幼さが残る、学校内でもかなりの人気があり男子からも告白されている噂を聞いたことがある。
告白と言う言葉に少し嫉妬する。
俺だって告白したい、でも……
俺達は幼馴染だ。
俺の事なんで兄ちゃんとか家族みたいなものでしか見てないだろうな。
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