第一話

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なんで幼馴染なんだろうな…… 幼馴染じゃなかったらこの気持ちを香奈に伝えれるのか? ……伝えられないだろうな。 臆病な自分が笑えてくる。 「いらない?」 心配そうに俺を見つめる香奈。 漆黒の闇に飲まれてしまいそうだ。 落ち込んでてもしかたないだろ。 ため息を一つついて、香奈の握ってる包装された箱を受け取る。 「しかたねえから義理でももらってやるよ。」 恥ずかしくて本当は嬉しいのに、ありがとうと言えない…… 顔が熱い。 絶対顔真っ赤だ。 赤くなった顔を隠すように出口に向かう。 「チョコも貰った事だし帰るか。」 「ま、待ってよ!」 帰り始めた俺を慌てて香奈が追って来る。 まだこの気持ちを伝えるのはできそうにねえな……。 高校終わる頃には伝えれるか? 「待っててやるから、早く来いよ。」 まだ幼馴染でいい。 もう少しだけ時間をくれよ。 勇気を出して香奈に想いを伝えるからさ。 オレンジ色の淡い光で輝く廊下に、俺と香奈の足音が響く。
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