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なんで幼馴染なんだろうな……
幼馴染じゃなかったらこの気持ちを香奈に伝えれるのか?
……伝えられないだろうな。
臆病な自分が笑えてくる。
「いらない?」
心配そうに俺を見つめる香奈。
漆黒の闇に飲まれてしまいそうだ。
落ち込んでてもしかたないだろ。
ため息を一つついて、香奈の握ってる包装された箱を受け取る。
「しかたねえから義理でももらってやるよ。」
恥ずかしくて本当は嬉しいのに、ありがとうと言えない……
顔が熱い。
絶対顔真っ赤だ。
赤くなった顔を隠すように出口に向かう。
「チョコも貰った事だし帰るか。」
「ま、待ってよ!」
帰り始めた俺を慌てて香奈が追って来る。
まだこの気持ちを伝えるのはできそうにねえな……。
高校終わる頃には伝えれるか?
「待っててやるから、早く来いよ。」
まだ幼馴染でいい。
もう少しだけ時間をくれよ。
勇気を出して香奈に想いを伝えるからさ。
オレンジ色の淡い光で輝く廊下に、俺と香奈の足音が響く。
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