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ふと、陣平は思い付いた。
「あれもできるのかな。」
例により、安業寺は瀬織と飲んで、泊まった。
安業寺は深酒しすぎて、泥酔してしまった。
その真夜中、瀬織は安業寺を泊めた部屋の前に行った。泥酔していたので、心配して様子を見にきたのだ。
ドアの前で、中の気配をうかがう。安業寺の部屋からは、問題ない人の気配がある。
(おとなしく寝てるようね。)
帰りに、陣平の部屋の前を通り、足を止めた。
(あら?部屋の気配が…)
陣平の部屋からは、1人とは思えない気配がある。
防音装備なので音はわからない。
瀬織は気で感じている。
(?
ということは、ドジコか、ナデシコか、スラリ、がいるのかしら?シズカはまさかね。よろしくやってるの?
まあ、いいことだわ。)
だが、気配が、違うことに気がついた。
(彼女達の気配とは違うわね。)
瀬織は、ドジコ、ナデシコ、スラリ、シズカの部屋の前を回り、気配で、彼女達が自分の部屋にいることを確認した。
(なら、だれ?)
瀬織は、ウォークインクローゼットから、聴診器のような形状の集音装置を持ち出した。
陣平の部屋のドアにそれをつけて、中の音を聴く。
かすかに会話が聞こえる。
「あ、そこ、あ、きたきた…」
陣平の声だ。
「こうですか?これなら、気持ちいいでしょ?」
「ああ、いい…さすがに俺の体をよくわかってるね。」
「まかせてください。なんなら、もっとよくしますよ、ほら。これなら…」
「うわ、あひー。」
瀬織は、眉をしかめた。
(これは…女がいる?嫁さん達ではない女だわ。どこかで聞いた声だけど…)
トイレに起きた安業寺が、瀬織を見つけた。
「あー、何してんの?」
安業寺は、まだふらふらしている。
声も大きい。
「しっ!」
瀬織は、黙るように合図した。
安業寺は静かな声で、
「何?なんかあるの?陣平ちゃんの部屋でしょ?」
と、瀬織に聞いた。
「いや、その、何かあるっぽいので…」
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