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ベンツに乗り十分程度で着いた俺、いや「あいつ」の家。
目の前にはパルテノン神殿をモチーフにした門。
後ろにはシンデレラ城…。
なんなんだよ…。
「あいつ」の両親は、親馬鹿過ぎる。
鳳凰学園に転校すると言ったら速急で家を建て始めた。
こんなに尽くしてくれるとそれはそれでいいのかと迷うことがある。
というか、俺はここの家の子じゃない。
いとこでもなければ親戚でもない。
ただの他人だ。
「うらら坊ちゃま、お着きになりました」
「…ああぁ、分かった。ありがとう」
運転手に礼をいい、ベンツのドアを開けて噴水のある豪華な庭を見渡す。
庭師達が年中無休で手入れをしれてくれいる。
だから、この庭の花が枯れているところなど見たことがない。
「あら、お帰りなさい、うらら」
俺に声を掛けた人物はこの庭にあるウッドデッキでティータイムをしていたもよう。
ティーカップを傾けて微笑を浮かべるのは母、咲弥(サクヤ)。
「だだいま、親父は?」
「あー、あの野郎だったらビューティー KIYOに行ったわよ」
微笑はほほえみながらも怒っていることが伝わる。
額にうっすらと血管が浮き出ている。
俺はそれに気付かないふりをして目を泳がせる。
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