3日目・休憩

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「ちょっとお前らに、話があるんだが」 不意に遼平側に移動していた石塚が口を開いた。休憩時間だというのに何故か小声だ。遼平と舞が怪訝な顔で石塚の言葉に耳を傾けた。 里香は眉を八の字に曲げて、横たわっている涼子に、声をかけ続けている志郎を見つめている。 「あいつは、とりあえず放っておけ」 「……そんな言い方は、酷いと思います」 石塚が冷たく言い放つと、里香が真剣な顔で反論した。 「今はそれどころじゃない。時間がないんだよ」 「奥さんが亡くなったんですよ? それなのに放っておけは酷いですよ。謝って ください」 「……悪かったよ」 時間の無駄と判断したのか、眉間に皺を寄せながら渋々と謝罪した。そして深い溜息をついてから、話を再開した。 「まず俺達は金が欲しいが、死ぬのは嫌だ。だがこの状況が続けば、いずれ実験と称して確実に殺される。ここまでは良いな?」 全員が強張った顔で頷く。 「そこでだ、俺たちで前川を襲わないか?」 予想していなかった内容に、遼平は息をのんだ。どうやら監視カメラを通して前川に聞かれることを恐れ、小声で話しているようだ。 「でも襲うってどうやって?」 舞が下唇に舌を這わせて、声を潜めながら訊いた。 「そうだな。俺と谷村、それに村山の3人で襲う。流石の前川も、抵抗できないと思わないか?」 「……殺すんですか?」 顎の不精髭を撫でている石塚に遼平が尋ねた。小声で話すという行為が、非現実的な内容に妙な現実味を感じさせる。
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