3日目・休憩

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「あいつが大人しく俺達を解放するとは思えんからな。仕方ないだろう」 「……そんなの駄目ですよ」 今までの前川の行動などを考えれば、遼平と舞は納得をせざるを得なかったが、里香だけは違った。真剣な眼差しを石塚に向けている。 「お嬢ちゃんだって、大切な人のために死ぬわけにはいかないんだろ?」 「でも前川を殺したあとは?どうやって金を手に入れるの?」 核心をつかれ黙り込んでしまった里香を舞が一瞥して、石塚の話に身を乗りだした。 「沖田と白川が死んだ時、金が入ってた封筒を渡してただろ?恐らく前川の部屋に、金を保管している金庫があるはずだ」 ふと遼平は部屋を見渡した。しかし封筒は見当たらない。どこに消えたのだろうか。決して広くはない部屋だ。仮に誰かが拾えば、気付くはずなのだが。 前川が回収した可能性も考えられなくはないが、恐らく皆無に等しいだろう。最初から回収するつもりならば、支払わなければ良いのだから。 残るは、誰かが自分の懐に隠したという可能性。 基本的に里香は隣にいたし、服装はワンピース。拾ったところで隠せないだろう。背広姿の志郎、ジーンズを履いている舞、短パンを履いている石塚は、服装的に隠せそうだ。それに石塚と舞は、金への執着心が強そうに思える。 「おい、谷村。聞いてるか?」 「あ、すみません」 石塚の声で我に返り、険しい表情の石塚に謝った。 「もう1回話すぞ?もうすぐ食事を支給しに部屋へと来るはずだ。最初に俺が前川を殴って転倒させる。そしたら3人で暴行を加えて気絶か殺害をする。そして金を盗んで逃走。金庫の暗証番号は、暴行中に脅して吐かせればいい。な、単純だろ?」 「でも前川が警察に通報したらどうするのよ?傷害と強盗って、人生終わるじゃない」 唇から滲み出ている血を舐めながら、舞が眉をひそめた。 「それは大丈夫だ。前川のやってることは明らかに犯罪だろ?警察沙汰になれば、あいつも困ることになる。そんなリスクを冒してまで通報すると思うか?まあ、俺達も金を奪うわけだから通報はできないがな」 石塚の言っていることは正論だった。このまま高確率で訪れる死を、ただ待っているよりかは幾分にも良い。
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