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里香と舞が曇った表情で遼平を見据えている。会話というコミュニケーションを失ったいま、その真意は分からない。部屋の隅では、志郎が膝を抱えて項垂れていた。
トイレの問題が生じた時の、里香の恥ずかしそうな顔。舞のニヤついた表情。遼平は重々しい空気のなか、あの時の雰囲気を懐かしく感じていた。
近くの壁に背を預けると、里香も隣に腰を下ろした。一度だけ顔を見合わせ、これから現われる睡魔に身を委ねることにしたのだった。
不意に就寝時間を告げる声が聞こえてきた。
前川が遥のことを質問した意味。その疑問を考えている内に、いつしか遼平の意識は睡魔によって支配されていった。
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