憂さ晴らし

21/31
前へ
/288ページ
次へ
――どのくらいのあいだ闘ったのだろうか 体感的には二、三時間位だか、恐らく倍以上は闘っているだろう 俺の腕は両方ともボロボロで袖がなくなっている そういえば制服のまま闘っていたんだなとぼんやり考える 膝から下も完全になくなっており皮膚が焼け爛れている 勿論ブレスのせいだ あばら骨も何本か折れ 始めたばっかからボロボロだった右腕は今ではだらーんとほとんど動かせない状態だ 息も荒く、全身のどこをつつかれても悲鳴をあげながら飛び上がれるくらいだ 対する目の前の白きドラゴン…白龍は無傷とまではいかないが所々かすり傷や僅かな凹みがあるくらい 勿論疲労はまったくと言っていいほど見えない そんなドラゴンは何故か俺の方を見ていた 俺は今ただただ棒立ちしている 勿論こんな疲労困憊の状態での棒立ちなど苦痛意外の何物でもない だが膝に手をつけば痛みでもっと苦しめる 一応背中にだけは傷はない(制服は破けている)が自分の命を狙う者の前で背中から寝転ぶのはあまりにも愚かだろう つまり一見相手の様子をうかがっているようだが実際は疲労で隙だらけだ もしあの白龍が突進でもしてきたら俺は一体避けられるだろうか 否、無理に決まっているだろう
/288ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2493人が本棚に入れています
本棚に追加