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「昨日ね、本で色々勉強するつもりだったんだけどね…万能こし器とか、ハンドミキサーとか知らない道具ばかりであんまりよくわからなかったの…」
「だからね、私のお母さんが一から教えてくれるからそんなに気にしなくてのに」
「だってそんなの迷惑になっちゃうじゃない、だからなるべくついていけるようにって、そう思ったのに…」
「じゃあその本使って私と勉強しよ、もぉそんな悲しいような顔しないでよ」
私は週末までの間、朱里にお菓子作りの基本を教えてもらうことになった。
朱里の説明はとてもわかりやすく、基本的なことはすぐに理解できた。
それにしても、普段の朱里とは裏腹にものを教える朱里はとても厳しく見えたのは私の気のせいだろうか・・・。
その厳しさがあったからこそ、たった一週間でいろいろ覚えることができたのだと思う。
「お邪魔します」
「いらっしゃい、今日はよろしくね」
日曜の午後朱里の家を訪ねると、お母さんが出迎えてくれた。
「朱里、凛ちゃんが遊びにきたわよ」
「ちょっと待ってて」
「じゃあ凛ちゃんはこっちに上がって待っててね」
朱里の自室は二階にあるため、準備が済んで下りてくるまで、リビングで待つことにした。
すると間もなくエプロン姿の朱里が下りてきた。
「お待たせ、凜」
「早かったのね、もう少しゆっくり準備してもいいのに」
「実は、楽しみにしすぎて、凜がいつ来るかずっと待ってたの」
朱里は少し顔を赤らめていった。最近の朱里は喜怒哀楽が、前よりハッキリするようになったけど、こんな気恥ずかしそうにしている朱里を見るのは初めてだ。
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