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朱里のお母さんは、とても丁寧にいろんなことを教えてくれた。
オーブンで焼きあがったスポンジに、ヘラを使ってクリームを塗っていく。
「ねぇ朱里、クリームの厚さがバラバラで、表面がでこぼこになっちゃうんだけど」
「しょうがないよ、それは何回も練習しないと上手にならないんだって、私もあまりうまくできないよ」
私がクリームを塗るのに手こずってる間に、隣では、朱里のお母さんが、回転台に乗ったスポンジをくるくると回しながらあっという間にチョコレートクリームも塗っている。
「いつもより多く回っております」と言いたいくらいに手際がいい。
私もいつかあんな風に作れたら良いなと思った。
楽しい時間はあっという間に過ぎていき、時計はすでに午後3時を指していた。
ケーキも完成して、紅茶と一緒に食べることになった。
形も悪くなく、二人で作ったぶん美味しさも二倍だった。
「私、高校生になったらお菓子が作れる部活にい入る」
片付けの途中何を思ったか、私は声をあげていた。朱里は突然何が起きたのかとびっくりしていたが、我を取り戻して。
「凛、すごいいい考えだけど…私たちの行く学校って調理の部活ないよ」
「ないなら作ればいいでしょ」
私もパンフレットでみたからもちろん知っていた、生徒の減少で何年か前に部員の少ない部が廃部になる際なくなったらしい。
でも本当に部を作ってやろうくらいの覚悟はできていた。
「じゃあ私も協力する、凛は私を救ってくれた、だから今度は私の番」
「ほんとうに?先生に怒られるかもしれないよ」
「大丈夫、なんでもする、そのかわり絶対作ろう」
「ありがとう、うん絶対」
そうして私たちは無事に中学に卒業を迎え、春休みを経ていざ高校生という名の青春の舞台へ。
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