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UFOが目の前に来たってことは、俺の頭にある知識は、そう沢山ない。現代科学では解明できない方法でばらばらにされるか、エイリアンと指を合わせてお友達になるか、誘拐されて体に変な金属を埋め込まれるかだ。結果としてどれも違ったが、俺は目の前に伸びてきたロボットアームに掴まれて、UFOの中に放り込まれた。
その村での出来事は、全てこれの布石だったんだ。身寄りのなさそうな人間を連れて来て、変な恰好させて、お供え物と一緒にエイリアンに差し出す貢物だったのさ。変なお香はエイリアンに対する道しるべだ。あんな臭いが好きってことは、エイリアンの星はあの臭いで一杯なんじゃないか? それに携帯電話とかテレビを禁止したのは、電波がUFOの航行を阻害するからだろ。飛行機と同じさ。
それに、あの村から連れ去られた人間は俺が初めてじゃなかっただろう。それが証拠に、俺が放り込まれた部屋は人間の民家と何ら変わりなかった。人間を緊張させないためだろう。俺はどんな前衛的な施設か期待していたから、少し拍子抜けしたけどな。
それに、全身に銀色のラバースーツみたいのを着込んだエイリアンは人間の言葉がわかるみたいだった。俺はエイリアンから永遠と詰問されたよ。エイリアンは直接喋らない。俺の脳に直接語りかけてくるんだ。
どうやらエイリアンは、人間を労働力として使いたいらしかった。地球の政府と問題が発生しないように、今回みたいにこっそりと人間を攫っては、自分たちの星に連れ帰ってそれぞれの能力に見合った仕事をさせるらしい。能力のない人間がどうなるかは訊かなかったよ。「ばらばらにして捨てる」なんてのは嫌だからな。
でも、エイリアンと暫く喋っていると、以外に面白い奴だってわかったよ。多分、能力のない人間は調査済みってことで、体に金属を埋め込まれているんじゃないかな? バーコードみたいなもんさ。
……到着したって? もうタイムオーバーなんだな。
……いや、俺も言いたいことは全部言えたよ。面白かったかい? ……そうか、俺は合格か。良かった! 俺の開拓者としての技能が認められたんだな!
……出口はこっちかい? じゃあ行こうか。
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