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「はい!じゃあ文化祭は『白雪姫』の劇で決まりだからな!」
文化祭役委員である匡太は黒板に白雪姫と書くと次の作業に移った。
そのとき俺は外を眺めていた。
あ‥‥あの雲ソフトクリームに見える~。うまそーだなぁ……。
「王子役は和輝で決まりだな!!問題はは姫役なんだが……。誰かやりたい人いないか?」
誰も匡太と目を合わせようとしない空気の中、直也の隣の席にいた優心がなにかを思い付いた。
「なおやん!なおやん!」
「ん~……?」
「腕に虫ついてるよ!」
「う゛ぇ!?」
その言葉に驚いた直也はつい腕を上げてしまった。
「おぉ直也!やってくれるんだな!」
「え……?」
「ありがとな!これで役が全部決まった!」
「いやあの俺っ……!」
「皆直也に拍手!」
わぁ!っと歓声と拍手が入り乱れた。
ふと見た黒板には劇の役名前と俺のフルネーム。
え?何でだ??
「じゃあ練習は明日からだからな!そこのところよろしくな!」
「マジかよっ……!」
よくよく黒板を見てみると白雪姫役と書かれた下の方に俺の名前。
そして隣で笑にもだえてる優心。
プツン。
俺の中でなにかが切れる音がした。
キーンコーンカーンコーン。
決めました!今日の放課後は友達の優心君と一緒に楽しい楽しい鬼ごっこです!
「ゆぅ~‥しぃ~んんん……」
「じゃあ皆お先に失礼!!」
隣にいるはずの優心を見たらもう鞄を背負ってドアの入り口に立っていた。
いつの間にっ!?だが逃がさん!
「待てゴラァァ!!」
「さらばーっ!!」
ドアから出ていったあとをすかさず追ったがもう優心の姿はどこにもなく声だけが響いていた。
チッ、逃げられたか……!!
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