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『?』
『一緒に行かないなら、俺は単身赴任になっちゃうよ。いいの?』
『単身赴任?なんか、結婚するみたいな事を言ってるけど…もしかしたら、するの?…かな?』
『うん』
『良かったね。おめでとう…?』
『ありがとう…希春さんもおめでとう』
『え?私?あ、あのこの間の女性(ひと)とだよね?』
『違うよ。話が噛み合わないな…大阪に俺と希春さんで一緒に行こうっていってるでしょ』
『……わたしと?
なんか…プロホーズみたいだね』
『うん、そうだよ。プロホーズ』
『強制的だよね?』
『嫌だった?』
『嫌じゃない。でもさ、お付き合いは飛ばしちゃうの?』
『俺がいなくなっても…いいの?』
希春は首を左右に振った。
『それは嫌だよ。かなり…。
でも、強制的なのも…反抗したくなるって言うか、プロホーズはさ、居酒屋じゃなくて、静かな所でとかさ…柚多夏くんの人生で結婚って大事な事だよね?ちゃんと考えてみて、私はバツイチだし、大きな子供もいるし、7歳も年上だよ。もう、子供は望めないよ』
思い掛けない柚多夏のプロポーズに希春は動揺を隠せずにいた。
『ちゃんと考えたよ。俺、今まで誰とも結婚したいと思わなかった。結婚しない方が気楽だと思ってた。でも、希春さんが側にいてくれると落ち着くんだ。何でもない事が楽しく思えたりして、ずっと一緒にいたいと思えた初めての人だった。
子供も大きな息子で良かったよ。神経質だから小さな子だったらプロポーズ出来なかったかもしれないよ。
俺は子供が欲しくて結婚を考えたんじゃないよ。それに子供がいない夫婦は沢山いるよ。俺と一緒にいたくない?』
『…ごめん。私は柚多夏くんには相応しくないと思う。
でも私も一緒にいたいと思ってしまうよ。ごめんね』
『ううん。そんな風に思わせて…頼りないよな。
自分で言うのも可笑しいけど、
希春さんと俺ってお似合いだと思うよ。
見た目だって希春さんは童顔だから年上には見えないよ…。
しかし、居酒屋でプロポーズはないよな。改まった場所だと俺が上がっちゃいそうだったからさ』
『…』
『出ようか』
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