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二人は店を出て
いつもの帰り道を歩いた。
会話はなく、柚多夏が希春の手を引いて、速歩きだったから引っ張られるように歩いていた。
『歩くの速いよ』
と希春が言ってみたけど
『うん』
と柚多夏は頷くだけで、歩く速度は落ちなかった。
いつも別れる交差点で柚多夏が急に止まった。
希春の手を離し
膝間づいた。
『希春さんと一緒にいたいから俺と結婚して欲しい』
『…。はい。私も一緒にいたいです』
と 希春が答えた。
いつもより早い時間だったから通行人が多かった。
恥ずかしかったから見つめ合って、笑ってしまった。
他に何にも視界に入れないようにお互いを見ていた。
『俺のうちに避難しよう』
『うん』
柚多夏は希春の手を引いて、
やっぱり速歩きで柚多夏のマンションに二人で入って行った。
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