もう人前では泣けない。

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数日が経ち、 希春は柚多夏とは会っていなかった。 柚多夏とよく会う居酒屋にも行かずにいた。 周子とは他の店で会っていた。 『希春ちゃん、柚多夏くんを避けてるの?』 と周子が言った。 『分かってた?』 と希春が言った。 『柚多夏くんって煮え切らないからね。朝倉くんも柚多夏くんは希春に気があるって思っていたらしいよ。でも…ねっ…』 と周子が希春を慰めようとしたがなかなか上手いことが言えなかった。 『ありがと。ちゃんと振られてたら気持ちもサッパリするんだけどね』 と希春が言った。 『…ゴメン、希春ちゃん』 と急に周子が申し訳なさそうに謝った。 『な、なに?』 と希春が恐る恐る周子の方を見ていた。 『実は、先週、偶然会社の近くで朝倉くんに会ってランチを一緒に食べた事があったのよ。その時に聞いたんだけど、柚多夏くんは派遣の人といい感じだ…って言ってた』 と周子が言った。 続けて 『38才の子持ちのバツイチだけど、すごい美人らしいよ。 柚多夏くんは始め、興味がなさそうだったのに、 美人の方が柚多夏くんに積極的だったみたいで… やっぱり男だから美人には弱い?のかなぁって… でも、美人のお子さんは小さいみたいで、プライベートで外では会ってないみたいだよ。 まだ深い関係ってわけでも、 始まってもいないみたいだけど… 二人の雰囲気から時間の問題かもって朝倉くんが言ってた』 と周子が言いにくそうに話してくれた。 『そうかっ…。 柚多夏くん、いい人が見つかったんだね。 美人で、38才なら結婚して子供も産めるし、良さそうじゃない。 柚多夏くんが幸せなら良かったよ』 と希春は本心からそう言った。 でも、少しだけ胸の痛みを感じていた。 冴木 結衣が言ってた通りだった。 …お払い箱になったんだ、私…
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