もう人前では泣けない。

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『希春ちゃん…?』 『周子、話してくれて、ありがとね。これで、サッパリ諦められるよ』 希春は精一杯の強がりを言った。 『希春ちゃん、今夜はうちに泊まりなよ。明日は休みだし、一晩中付き合うよ。』 『ありがとう。気持ちだけもらっておくよ。明日は月に一度のグルメ記事の取材で朝から仕事だから、帰るよ』 『タイミング悪いなぁ。希春ちゃん、大丈夫?』 『幾つだと思ってるの? 柚多夏くんとは何でもなかったんだから、 傷が浅くて良かったよ。 直ぐに忘れるから大丈夫だよ』 と希春はそう言ったものの本当はショックが大きくて 込み上げて来る感情を抑えていた。 若い時なら人前でも泣けたのに… もう、友達の前でも泣けない。 早く一人になって泣きたかった。
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