死ぬまで恋はしないと決めた時

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翌日は日曜日だった。 希春はグルメ記事の取材で朝から開店前のワッフルとガレットのお店を数店舗回っていた。 各お店には事前に数週間前からオープン前の取材を申し込んであった。 失恋くらいでキャンセルは出来ないし、 夕べは周子と別れてから自宅に戻り一人になっても、もう涙は出なかった。 希春自身が拍子抜けするくらい、 立ち直りが早かった。 今朝もいつもと変わらない朝を迎え、柚多夏への気持ちはこんなものだったのかと自分にガッカリしたほどだった。 取材の最後の三件目のお店を出た時、ちょうど午前11時だった。 通りには人が増えて賑やかになって来た。 店から通りの歩道に出た時に 目の前に柚多夏がいた。 柚多夏の隣には美人がいた。 楽しそうに笑いながら並んで歩いて来た。 すると、柚多夏が希春に気付いた。 『こんにちは』 と 希春から挨拶した。 柚多夏はコクリと頷いた。 『仕事?』 『そう』 『カメラ、写真も自分で撮るんだ』 と柚多夏が希春が持っていたカメラを見ながら言った。 『うん、カメラマンを付けるほどじゃないから、なんでもやらなきゃならないの』 『ふーん』 『柚多夏くんはデート?』 と希春が聞いた。 内心は騒ついていたがどうにか冷静を装って、茶化すように言った。
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