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「いやぁぁぁぁぁ!!!俊太郎様ぁぁぁぁぁ!!!!」
あのときの、君の声は、今でも耳の奥に残っている。
「あかん!あんさんが逃げへんでどないするんや!!!」
「いや・・・・・・・いやだ・・・・・・・いやです!!!!!」
「紫乃!!!!!!!!!!!」
元治元年、7月。
先に起こった八十八夜の政変により京都を追放さえれていた長州藩が、、会津藩主・京都守護職松平容保らの排除を目指して挙兵。
後の禁門の変と呼ばれたこの事変の戦火にあり、「どんどん焼け」による京都の町の大火災が起こったその影で、一人の男の命が失われていた。
正確に言えば、その男の捕らえられた牢獄の消失。火災が広がり、捕らえられた者たちの脱出を懸念した役人たちがいっせいに斬首を行った。その結果だけが、後にもたらされることとなる。
その男の名は古高俊太郎。京の町では京都河原町四条東で諸藩御用達・枡屋を継ぎ、枡屋喜右衛門を名乗る。京に身を置く長州門者たちなどの取りまとめ役とて暗躍。
そんな闇に身を潜めた男の人生の中での、唯一の光。
彼の愛した、女性。はかなげに見えて、芯の強い、自身が遊郭主人として身をおく遊郭の遊女だった。
影を生きる、古高の唯一の光。彼女もまた、古高を愛し、互いに求め合い、深く、恋に落ちた。
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