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彼女が、この時代ではなく、150年も先の時代より神隠し的なものにあい、その身を運ばれたのだという事実を知ったのは、古高の死・・・・否、行方が分からなくなってから4年後の、慶応4年、のちの明治元年。
謹慎処分を受けた慶喜に伴い、水戸での謹慎生活を余儀なくされる中、彼女の元を訪れた一人の青年。彼女の幼馴染。そうして彼女の元へ届けた荷物。
それこそが、彼女らをこの時代に運ぶきっかけになった道具なのだという。
幼馴染はは、紫乃に言った。
「この時代に残ることで、紫乃がつらい思いを引きずるだけなら・・・・一緒にに帰ろう。」
再三にわたり、結田という青年はは紫乃を説得した。この時代にいても、得るものはもう無い。4年も姿をくらませたままの古高が、この世に生を受け続けているとは考えがたいほどの年月が
既にたってしまっていたのだ。
幼馴染の言葉に、首を振り続ける紫乃。かたくな姿勢もすべて、彼女の古高への思いなのだろうか。
「私は、ここにいるよ。」
「紫乃・・・・でもな?」
「・・・・・・・いいの。決めたの。」
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