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部屋まで送ってくれるのは有難いが、何故こうも注目されるのだろう。
エレベーターを待つ者、部屋の前で談笑する者、通り過ぎていく者、すべての視線が注がれる。主
に、隣でへらへらしている男へと。
「あの、やっぱりここまででいいです。視線が痛いんで……」
「あー、そっか。ヒロ君は外部生だったよね、ごめんごめん。じゃ、ここまでね」
「はい、ありがとうございました……」
じゃあ気をつけてねー、と言い残し、道本は来た道を戻っていった。
あいつも寮に帰るのではなかったのか。
また学園に戻って何をしようというのか。
そもそも何で俺なんかに構ったのか。
疑問は尽きないが、呼び止める理由はない。
だんだんと小さくなっていく背中を見送ったあと、ちょうど到着したエレベーターに乗り込んだ。
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