1章-それぞれの時間

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はぁ。 今日も学校かぁ。 めんどくさい・・・ これが毎朝私が思う気持ち。 そして自分を観て、毎朝嫌な気持ちになるんだ。 「美優 起きてる?遅刻するわよ」 「んー」 毎朝交わされる母親との会話。 あたしの名前って、なんで美優なんだろう・・・ 優しくもないし、美しくもない・・・ 完璧名前負けしてる自分・・・ あぁこの名前も嫌い。 みんな嫌い。 ――――――――――――――― そういえば、幼稚園の時から、一番身長が高かった。 小学校もそう。 中学校もそう。 すごく嫌だった。 いつも言われる言葉 「でかっ!」 「お前のとなり並ぶのだけは嫌だ。でかいから」 そのたびに言うんだ。 「はいはい。すいませんねー」 って・・・ 本当は傷ついてるくせに・・・ 好きで大きくなったんじゃないって泣きたいくせに・・・ 本当は私だって、小さくてかわいい女の子になりたかった・・って思ってるくせに・・・ いえない・・・ 1年の時も、2年の時も言われ続けて、もう慣れた・・・と思っていたのになぁ・・・ 3年になったら、何人かの男子が私よりも背が高くなったんだ。 それでも言われる言葉は同じで・・・ でも卒業式の時だけは、なんだかホッとした。 あぁ私の方が小さいや・・・って これなら恥かかないで済むなぁって・・・ 背の順でとなりに並ばされてる奴も、恥ずかしくないだろうって・・・ 猫背にして歩かなくてもいいんだって・・・ ここを出れば、もうこれで、毎日嫌な言葉を聞かなくて済む。 男子がいない生活になれば、傷つかないで済む。 そんな単純な理由で女子校を選んだ。 それが、あとあと大後悔になるなんて・・・ その時のあたしが知るわけもなく・・・ ――――――――――
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