1章-それぞれの時間

3/16
37人が本棚に入れています
本棚に追加
/194ページ
高校生活が始まって最初に思ったのは、やっぱり自分が一番大きいこと。 正門から入って、カフェテラスと校庭に挟まれている道を歩く。 桜が舞っていてすごく綺麗だ。 こうなったら、もう身長生かす部活でも入るかなぁなんて思っていたら、やっぱり声を掛けられた。 「うちの部活入って!」 「いやいや、うちだから!」 んーめずらしく人気者。 みんなが欲しがっているのは、私じゃなくて、私の身長なんだけれども・・・ バスケ部・バレー部 両方まともにやったのは体育だけだし、初心者だって伝えても、彼女たちにとって魅力らしいこの身長のせいか、引き下がって貰えない。 「絶対うちの方が楽しいから入りなよ」 どっちの部活も同じ事を言う。 結局バッシュに憧れてバスケ部に入部した。 単純な理由すぎて、誰にも言えないけど…… でもね、始めてみたら下手くそながらも、バスケが楽しい。バスケ好きになったの。 強気な子が多いから、人間関係はめんどくさいけど。 まあ多少強気な位じゃないと、このスポーツって出来ないんだなってことにあとから気付いた。 あたしにはむかないな・・・ 好きだけど向かない… でも好きだからなんだかんだで続けてる。 そんで不思議とレギュラーなんだ。 下手くそなのに・・・ 背が大きいからって理由だけだろ?最初のジャンプに競り勝つ為だけだろ?と思いつつも言わない。 結局私はどこに行っても身長コンプレックス。 それのせいで人が苦手。なのに部活やってるってゆーね。 だってほら、動いていればいろいろ忘れて熱中できるし。 なんとか通っている学校生活も3学期。 バレンタインが近づいた頃、なんだかまわりが騒がしくなってきた。 ―――――――――
/194ページ

最初のコメントを投稿しよう!