-2人の時間-

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「よっ」って言いながら手を上げる諒に、自然に笑顔になってる私。 諒もニコッと笑っていた。 「おまたせー」 そう言った私を諒がふわっと抱きしめた。 え? なにその抱きしめるとか…… なんで?どうして?こっこれはさすがに… きっ緊張しちゃうんですけど… 「ごめんね。」 え?なにがごめん? 諒があやまる意味がわからなかった。 演技だよきっと。 うん。そうだ。 じゃなきゃ、絶対こんなことしない。 切り替えなきゃ! 「うん。。。どしたの?」 なんで諒がビクッとしてるの? 「お前のうしろ、すっごい睨んでる奴いるから、とりあえず見せつけてみようかと」 何を考えてんのよ。 それって逆効果じゃないの?? あ、でもちゃんと演技しなきゃだ。 ここまでしちゃってるんだし。 何かを感じとった諒が、私を腕の中から離した。 「あのぉ本当に・・・美優先輩の彼氏なんですか?」 うっ…来た。 あぁまたこの間と同じ事言ってるし。 「え?あ、うん。そうだけど」 諒ファイト! 「本当ですか?」 「そうだよ。君が美優を困らせている子?」 「困らせているって・・私・・・そんな・・・私はただ。。。」 「美優を困らせないでね。心配だから」 うわー。 言いながら私のこと引き寄せてるし。 笑顔だけど、目つきは真剣だぁ。 すごい演技力・・・。 「本当に彼氏なんですね・・・でも本当に仲良いのかなんてわかんないですよね。納得したら諦めますから・・・」 なんかこの子泣きそう。 でも言ってることこの間と違う。 「彼氏がいるのわかったら諦めるって言ってたよね。。。」 「いる…のは…わかりました。でも…信じたくない」 くはっ。 そうきましたか。 「やっぱりな。」 やっぱり…簡単にはいかないよね… 「美優。行くぞ」 「あ、うん」 手、繋いでくれるんだ。 そのまま改札とかって… なんかいいなぁ。って違う違う。演技よ演技。 ホームでの電車待ち中も、手を繋いでる。 なんか恥ずかしい。 思わず下を向いていたら、諒がまた抱きしめて来た。 演技よ演技! わかってるけど、連続でされるとちょっと困る。 慣れてないんだってばー。 でも… 私、大きいのに、すっぽりとおさまってるんだ。 「諒?」 顔絶対赤いよ私。 演技とはいえ、やっぱ慣れてない。。。 「あいつこっち見てるから。」 あぁそうか、だからだよね。 気を引き締めなきゃ。
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