41人が本棚に入れています
本棚に追加
電車がホームに入ってくる。
どこまで彼女がついてくるのかわからない。
だから覚悟を決めて、演技に集中した。
電車の中でも手をつないだまま。
「このままカレカノっぽくデートする?」
「そうしないと、あやしまれるよね。。。」
「だな」
ついてきているのかはわからない。
でも今は、このまま突き進むしかできないよね。
ここでバレたら意味ないもん。
ゲーセンで遊んで、ファーストフードで軽く食べて、見たい映画があったからつきあってもらった。
諒ってなんでも出来ちゃうんだな。
ゲームもうまいんだな。
ポテト食べようとしたときに、持ったポテトを食べられた時はビックリしたけど、全部演技だもんね。
いっつも部活部活で、こうやって遊んでから帰るなんてしたことなかったから、新鮮だった。
楽しい時間って早い。
でも……こんな私と歩かせてしまっていることに、バイトとはいえ罪悪感。
実際私たちを見て、なんか言ってる人とかいたし。。。
ごめんね。
「もうさすがについてきてないな。」
あ
うん。離れよう。
ぶはっ!
なんでそんなに大笑いしてるの?
何が面白いんだろう?
「おっまえ・・・一気にオーラなくしすぎ」
え?
オーラ??
お腹を抱えてまで笑わなくてもいいのに……
「え?なに?え?」
「はぁ。無自覚ってすげぇな」
「?」
「お前ってさぁ、学校にいるときと、こうやって2人でいるときと、演技しなきゃって気を張っている時にまとっている雰囲気が全然違うのな」
「へ?」
んー。わかんない。
私は私でしかないし。。。
「で、どれが本当の美優?」
すっごい真剣な顔で、そっそんな覗き込んで聞かなくても……
「え?わっわかんないよそんなの。私は私だし」
なんでそんなに顔の近くに寄る必要があるの?
慣れてないんだってば。。
「だろうな。」
わー。
肩をふるわせてまで笑ってるじゃん。
もう間違いなくからかってるよねこれ。
でもまあ、今日はいろいろあったし、楽しかったから怒らない。
怒らないよ。
でも反撃しない私に逆におどろいているみたい。
「明日どうする?」
「あした?」
「日曜だし」
「あー・・・日曜はいいよ。バイト休みで。」
さすがにね。
「わかった」
「じゃ、また月曜日ね」
「あぁ。じゃーな」
こうして3日目のバイトは終了した。
最初のコメントを投稿しよう!