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- 最終日 -
- 諒 -
「俺、今日午後さぼるから」
「さくっと言ったね-」
「お前バイトっていつまで?」
「今日までのつもり」
「バイトあんのに、午後サボるってあり?」
あいかわらずアキはするどいな。
でも俺、なんで今『つもり』って言ったんだろう。。。
ま、いいや。
「最後だからがっつりバイトすんだよ」
「あっそ。」
「お前結局なんのバイトしてたの?」
それは…言えるかよ。
「あ?内緒」
「なんだよそれ」
ばたばたとうるせー音が廊下から聞こえてきた。
これ間違いなく晃(こう)だよな。
「諒汰! お前昨日バイトだったんだよな?」
ほらやっぱり。
「あぁそうだけど?」
「じゃあ見間違えかなぁ。お前が女と歩いてるの見たって香奈が言ってたんだけ……ど………」
え…マジかよ
「あぁ、バイトの先輩じゃね?帰り途中まで一緒だったから」
うっわー。
誤魔化してるし俺。
「もう先輩とできちゃってるわけか」
「んだそりゃ」
うまくごまかせたらしい。
でも見られてたのか。
ま、それも今日までだし。
「じゃ、俺いくわ」
「見つかんなよー」
「おぅ」
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裏門から学校を出る。
着替える時間はやっぱりない。
なんで水曜日だけあいつの学校こんなに早く終わるんだよ。
いそいで電車に乗る。
まだ制服着ている奴は乗っていないこの時間帯、さすがに制服じゃ目立つ。
けど仕方ない。
遅れるわけにはいかないしな。
電車が駅へ滑り込み、ドアが開いた瞬間にダッシュで改札へと向かった。
あーでもまだ来てねーみたいだな。
間にあったー!
と思ったけどギリギリだったか。
美優が、美紀ちゃんと一緒に歩いているのが見えた。
「じゃあね。お先に!」
「またねー」
美紀ちゃんが、俺の方に歩いてきた。
ん?なんで俺の方来るんだ?
「ねぇ。本当に今日で終わり?」
「あぁそうだけど?」
「ふぅん。終われるんだ」
は?
「なにが言いたいんだよ。」
「この後美優が一人で全部乗り切れると思う?」
それは…わからん
「………」
「無理だと思うよ。また美優苦しむ」
そんなこと言われてもどうしようもない。
「俺にどうしろと?」
「自分で考えて?」
はぁ?
帰ってるし……いい逃げかよ。
それにしても、美優が苦しむ?
なんでだよ。
なんか美優、不安そうな顔してる。
なんだ??
まあいいや。とりあえず今日は楽しもう。
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