-2人の時間-

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- 最後の時間 - 「今日制服なんだね」 なんか新鮮。 「さすがに帰ってる時間までは無かったからな」 「ごめんね」 「ん?あやまる必要ねーし。」 「ま、今日で最後だしね!」 元気に言ってみた。 「どこいく?」 そう言われても… どうしよう… 答えを出せない私に諒が言った。 「ちょっと遠出しない?」 遠出?? 「え?どこ?」 「海」 海かぁ。最近見てないなぁ。 最後だからさっさと帰るかと思ってたのに、出かけてくれるんだね。 電車で出掛けるなんてね。 しかも制服のままだよ。 私が男の子とこうやって出かけるなんて…ね。 いくらバイトとはいえ、やっぱり緊張する。 諒、疲れてるのかな。 電車の席、並んで座った私の隣でウトウトしてる。 なんだかかわいい。そんな風に思った。 「わりぃ。ちょっと肩かして」 返事をする間もなく、私に寄りかかって寝始めた… あぁ肩ね。 サラサラの髪が首をなでる。 なんだろう。この居心地のよさ。 髪がふれるこの感じも、寄りかかってくれることも、なんだかよくわからないけど心地いい。 あと何分くらいこうしていられるのかな。 ってなんでこんな風に思うんだろう。バイトだよバイト。 仕事としてやってんだよね。 「んー」 「起きた?」 15分くらいしたとき、諒がゆっくりと体を起こした。 まだもうちょっとこうしていたかったな。 「うん。おまえの身長くらいあると、寄りかかっても安心だから助かった」 うっわー。 ちょっと傷付いたー。 そっそうだよね。便利な枕ってことだよね。 「はいはい。すいませんねー」 久々に言ったな。この言葉。 よっし。気を取り直そう。 「ねぇ。なんで海なの?」 「ん?あー・・・見たかったから」 「へぇ」 それだけ言葉をかわして、手をつないだまま歩く。 それも今日までだと思うと、やっぱりどこか寂しくて・・・ 諒は、普段から女の子とこうやって来てるんだろうけど・・・ 夕方の海は、すごく綺麗で、なんだか心まで癒やされた。 「なぁ、美優」 「ん?」 「大丈夫か?明日から」 「あぁ。うん。大丈夫だよ。あとは自分でなんとかするから」 もう頼めないよ。 「ならいいけど・・・」 「ごめんね。」 「なんかあったら連絡しろよ」 嬉しいけど… たぶんもう電話はしないと思うよ。 「今日はありがと」 「あぁ」 「ちがうね。今日までありがと!だね」
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