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話してくれた。
俺が迎えに行かなくなった日から、ずっと美優にくっついていたって。
美優がどんな態度をとっても離れなかったって。
美優に負けたら諦める、勝ったらキスして欲しいと言ったって……
なんだそれ?!
「私があんなこと言ったから、先輩負けようとしているのかもしれない・・・」
は?
わかってねーな。
こいつ美優の側にずっといたのに、美優をわかってないんだ。。。
自分が好きでいることに酔っているだけだ。
「それはちがうな」
またビックリした顔してるし。
「美優は、負けようとなんてする奴じゃない。あいつは自分のことより周りを優先するんだ。 確かに苛ついてるっぽいけど、あいつは勝ちを諦めるわけがねぇ。 勝った後のことは自分1人のことだから後回し。そういう奴なんだよ。」
「・・・・・」
「俺は普段あいつがバスケしてる所を見たことがないから、よくわかんねぇけど、大丈夫。あいつのあのイライラしてる感じは、もうすぐ消えるよ」
今度は沈黙かよ。
俺がイラつくわ。
向こうはどうだ?
美優と美紀が話してる。
美紀なら、美優を試合に集中させることができると思うけど……
微妙か?
◇
続きの試合が始まった。
あきらかに美優の動きが違う。
さっきまでの荒っぽい感じが抜けてる。
相手もさっきまでと美優の動きが違うからか、とまどっているように見える。
やるじゃん!
「気持ち切り替え出来たみたいだな。」
ホッとした。
こいつが何かしないか気になって、そのままこいつらの隣に座ってた。
よかった。美優が落ち着いて…
もう大丈夫。そう思って立ち上がった時だった。
「やっぱり彼氏なんですね。私、好きならずっと一緒にいるのが当たり前だと思ってて……でも先輩に、それぞれの時間があるんだからいいのって言われたんです。私たちには私たちなりのペースがあるんだからって……」
「………」
あいつ…うまくごまかしたな……
「でも今わかりました。普段学校も別で、そんなに会う時間無いように見えるのに、美優先輩のこと、すごくわかってるんですね。なんか、それってすごいなって……」
は?
すごい?のか?
「俺は別に……あいつ昔からそういう奴だったから……」
「えー!そんなに前から付き合ってたんですか!?」
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