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夏休みが明け学園祭が近づいてくると、ケンちゃんの周りにはグループができていた。
当時、放課後の遊びで流行っていたポコペンを
僕もそのグループと一緒になって遊んでいた。
「ポコペン、ポコペン、だーれがつっついた、ポコペン」
つっついた人を当てられなかった僕は、100秒数えたあと鬼になって探したけど
始まる前から打ち合わせていたんだろう
日が暮れるまで散り散りに隠れたはずのみんなを探しても、たったの一人すら見つからなかった。
次の日の朝、僕はいつものように声をかけると
そこにいつものケンちゃんはいなかった。
「いつもニヤニヤしやがって、キモいんだよお前」
そう一言だけ残したケンちゃんは、僕を置いてグループで朝礼に向かった
そんなときでも笑っていたのかもしれない。
表面で固まったままの張りぼての笑顔の落としかたを、僕は知らなかったから。
―泣くんだろ?お前は弱っちい奴だなぁ―
その頃にはもうお馴染みになっていたそいつに
「うるさい」
と一言呟いた。
明かりの消えたクラス
グランドから聞こえてくる校長の挨拶
カーテンの隙間から僅かな光が差し込んでいた。
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