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その後のことはよく覚えていない。
周囲の人間の
騒ぎ
悲鳴
泣き声
こだまして
ぐるぐる
ぐるぐる
覚えているのは、そんな断片的な記憶。
気がつけば、彼女の葬式が開かれていて
一人輪に入れないまま、目まぐるしく変わるクラスメート達の泣き顔を拝んだ。
あの時
彼女の隣
すぐ隣にいた僕
ただ、ただ彼女が落下していく様を眺めていた僕
そんな、無慈悲な僕には何ができるわけでもなく
葬式が終わり
それぞれが帰路についた後も
ただ、ただ温もりの消えない左手を眺めていた。
―泣けよ―
いつもそうだ。
―お前はそういう奴だろ?―
あいつの声は、いつもそんなときに聞こえてきたんだ。
「………うるさい」
―あ?聞こえねーんだよ。お前いま何…―
「うるせぇ!!!黙れ!黙れ!消えろ!何なんだよお前!お前は何がしてぇんだよ!!!」
一度溢れ出した言葉は留まることを知らず
幾度となく発せられた罵詈雑言は
誰もいない帰り道に虚しく、暗闇の中に消えた。
これが僕とそいつのラストコンタクトで
それ以来僕はそいつを見かけることはなくなった。
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