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『ふーん。ま、逆境を乗り越えるために強く前向きに考えているんだろうけど…』
コーヒーを一口飲み、カズ君は続けた。
『何か不幸にしがみついてるようにも思えるな。病気持ってます、会社ではイジメられてます、でも気にしない振りして強く生きてる私、カッコイイでしょ?おまけに家には無職の男がいて養ってあげてたんだけど、不慮の事故でなくなって可哀想度倍増です。みたいな。』
不幸にしがみついてる…そう言われると否定できない。アイツに「一緒に住めばいいよ」って言ったのは私。可哀想って思ったから。自分は人に可哀想と思われたくないとか言っておいて…。自分より不幸な人間を側において、優しい言葉を掛けて、優越感に浸ってた?なんや、私もアノお節介女子らと一緒やんか。
『それ、何?』
カズ君が向ける視線の先を見る。それは薬をまとめて入れているポーチからはみだして見えていた。
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