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俺はまだ、霧の中にいた。
あー、夢なら醒めてくれ~。
多分、さっきのが、人生を走馬灯の様に思い出すとか、お花畑見るとかいう臨死体験ってやつだったんだろうな。
俺が死んだって聞いて、奈央、泣いてくれてるかなぁ。
【慌てなくていいよ】
不採用の知らせがくる度、奈央はそう言った。
俺が毎日、仕事もせずに居候してタダメシ食ってる事に、一度も文句を言わず、嫌な顔もせず、ただ励ましてくれていた。励ましに応えたい…迷惑かけた分、何十倍にもして奈央に幸せを返してやりたい。そして、俺と一緒に居て良かったと感じて欲しい。だが、思いとは裏腹にスタートラインにも立てない俺。そんな自分が嫌だった。自分に嫌気がさして、つい…彼女に八つ当たりを…そうだ、誰が悪いって俺じゃねぇか。
でも、もう、謝る事もできない…
俺は大きく溜め息をついた。と同時に土下座したままの形で死神2人が目の前に現れた。
『誠に申し訳ございません!』
2人揃って、頭を地面に擦りつけてる、どうしたんだろう。と、小太りが顔をあげてはなしだす。
『こちらの手違いで、本来亡くなるはずでない岡様がお亡くなりになったといいますか何と言いますか…』
『要するに間違っちゃったってこと。テヘッ』
はぁ~?テヘッて、首を傾げて可愛く言ったって聞き流さないぞ、ゴスロリ!
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