脱け殻

2/3
前へ
/64ページ
次へ
【送信】の声と同時に俺と2人の死神が移動して来たのは、俺の遺体が横たわる場所。霊安室。 部屋の天井に張り付くようにして、下を見下ろす俺達3人…忍者か?! あ、誰か来てる…奈央じゃない …マズイ、 …姉貴だ…。 姉貴と旦那と息子か? 姉貴は巧いことやって金持ちの旦那を捕まえた。俺みたいな出来損ないの弟はお払い箱。ここ何年も会っていなかった。 『大丈夫ですか?顔色悪いですよ』 また、汗を拭いてる小太りが声をかけてきた。お前こそ大丈夫か? 『死んでも顔色あるの?ってかこの体勢に意味あるの?下に降りようぜ』 『ダメです。気配を感じられるとまた厄介なんです。』 声を潜める小太り。 『話す声も小さくないとバレるのか?』 俺も声を落とす。すると、ゴスロリが 『し~んぱ~いないさぁ~!どうせ聞こえないんだし。』 大声で叫んだ… 姉貴は旦那に何回も頭を下げて謝っている。 【弟のせいで貴方に迷惑かけてごめんなさい】とな。 チョイチョイ、弟が死んだんだゼ。俺に対する言葉はないのかよ。 姉貴達はすぐ出て行った。 俺の眼下に見えるのは全体に白い布を被せられた俺の抜け殻。 『なぁ、下に降りて見てみていいか?』 『どうぞ』 小太りが言うと俺たちはゆっくり下に降りた。 おそるおそる、抜け殻の顔に被さっているものをめくる。 ゲ… 『ね、ゾンビでしょ?』 明るく言ってくれるな…ゴスロリよ。 と、突然、部屋の外から泣き声が聞こえてきた。 【ヒトリじゃ、不安で…だって喧嘩して出ていったまま、…そのまま、死んじゃうなんて…】 号泣してる。奈央だ… 奈央があんな大声で泣くなんて。しかも、俺のために。そんなにも俺の事を… 寂しいよな、不安だよな。お前だって、あんな別れ方、納得いかないよな。 何で、死んだんだ?俺。 もっと一緒に居たかった。 もっと幸せにしたかった。 そう、今、俺にしてやれるのは、これしかない。
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加