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【送信】の声と同時に俺と2人の死神が移動して来たのは、俺の遺体が横たわる場所。霊安室。
部屋の天井に張り付くようにして、下を見下ろす俺達3人…忍者か?!
あ、誰か来てる…奈央じゃない
…マズイ、
…姉貴だ…。
姉貴と旦那と息子か?
姉貴は巧いことやって金持ちの旦那を捕まえた。俺みたいな出来損ないの弟はお払い箱。ここ何年も会っていなかった。
『大丈夫ですか?顔色悪いですよ』
また、汗を拭いてる小太りが声をかけてきた。お前こそ大丈夫か?
『死んでも顔色あるの?ってかこの体勢に意味あるの?下に降りようぜ』
『ダメです。気配を感じられるとまた厄介なんです。』
声を潜める小太り。
『話す声も小さくないとバレるのか?』
俺も声を落とす。すると、ゴスロリが
『し~んぱ~いないさぁ~!どうせ聞こえないんだし。』
大声で叫んだ…
姉貴は旦那に何回も頭を下げて謝っている。
【弟のせいで貴方に迷惑かけてごめんなさい】とな。
チョイチョイ、弟が死んだんだゼ。俺に対する言葉はないのかよ。
姉貴達はすぐ出て行った。
俺の眼下に見えるのは全体に白い布を被せられた俺の抜け殻。
『なぁ、下に降りて見てみていいか?』
『どうぞ』
小太りが言うと俺たちはゆっくり下に降りた。
おそるおそる、抜け殻の顔に被さっているものをめくる。
ゲ…
『ね、ゾンビでしょ?』
明るく言ってくれるな…ゴスロリよ。
と、突然、部屋の外から泣き声が聞こえてきた。
【ヒトリじゃ、不安で…だって喧嘩して出ていったまま、…そのまま、死んじゃうなんて…】
号泣してる。奈央だ…
奈央があんな大声で泣くなんて。しかも、俺のために。そんなにも俺の事を…
寂しいよな、不安だよな。お前だって、あんな別れ方、納得いかないよな。
何で、死んだんだ?俺。
もっと一緒に居たかった。
もっと幸せにしたかった。
そう、今、俺にしてやれるのは、これしかない。
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