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『戻れ』
奈央の言葉が終わる前に俺は念じた。
無駄だった…全ては無駄だったんだ。
戻るとゴスロリがタブレットの画面を見ていた。が、スグ俺の気配に気付いた。
『はぁー!?ナンデ?ナンデこのタイミングで戻ってきたのー?意味ワカンナイんですけどー!』
『お前、よくも俺をだましな!』
『はぁ?』
『奈央はイジメも病気もちっとも気にしてないじゃねぇか!アイツにとったら大した事じゃない、なくなった所でどうでもいいんだよ。返せよ、俺の2つの願い事返せ!』
『アナタ、ホント、最低ですね』
『何?!』
『彼女が気にしないならずっとあんなイジメを受けてていいんですか?病気を受け入れて気丈に生きてるなら治らなくていいんですか?自分が感謝されなければ、自分がいい人と思われなければ、自分が認めてもらえなければ、全て無駄なんて、どんだけの自己中?!しかも、彼女に一言の謝罪も感謝も言わず戻ってくるとかマジあり得ない。』
そうだ…
重要なのはそっちだった。
『残念ですけど終了です。課長が帰ってきたら…』
珍しくタブレットがゴスロリの手元から離れていた。操作はゴスロリのを何度も見て覚えている。今しかない。俺は【入れ替わり】と入力して送信した。
さすが…俺。
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