失態

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俺の目の前には… 鴇田と小太り。 あれ? 小太りが俺からタブレットを取り上げ、慰めるように肩をポンポンしながら言った。 『えぇ、えぇ。お気持ちはよ~くわかりますよ。ただ、1回だけと決められているものは1回だけでして…』 こっちには怒ってるヤツが1名。 『どういう事か説明していただきましょうか?』 俺がご説明して差し上げようとしたら小太りが、 『鴇田さま、大変申し訳ございません。実は…』 と、俺がやらかした事を簡潔に話し、【部下の失態は私の責任でございます】と、深々と頭を下げるのだった。 何で、お前が謝るの、謝るなら俺じゃね?まぁ、謝らねぇけど。 『そうですか。』 鴇田に睨まれた。 『で、私の体はどうなっているのですか?』 『只今、私の部下が鴇田さまのお体に。すぐに戻して差し上げたいのですが、実は、入れ替わる際に、鴇田さまのお体が若干、光を帯びましてですね、タイミングを見計らわないと、【あ、アイツ今光ったゼ】みたいな事に成りかねませんので…』 へぇ。そうなんだ、気付かなかった。 『ですから、不用意に入れ替わられると困るんです…はい。』 釘刺された。 そして、溜め息をつく鴇田。 『ところで、』 小太りが空気を変えて話出した。また、資料をペラペラしている。 『見付かりましたよ。貴方の代わりに寿命が伸びた方。貴方がお望みでしたら、この方としてなら、生きていただけますが…』 『え、生き返れるの?』 アレ?希望が見えてきたか? 小太りがそいつのプロフィールを読みあげる。 『えー、カナダのモントリオール在住のジョージ…』 なんだ、外国人かよ。小太りは続けてそいつの情報を読みあげていたが、興味ねぇ。最後のほうは聞いていなかった。 そいつに生まれ変わったところで、彼女に謝れるわけでも会えるわけでもない。 『その方って、もしかして…』 鴇田のほうが食い付いた。わからないけど、世界何ケ国かに支店のあるカフェのオーナーとか何とか。 もう、どうでもいいわ、俺。
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