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保健室から校舎を見上げたら、何故か檜山の授業中の姿が見えた。
長い指先でチョークを握り黒板に字を書いていく。
顔を横にして角度を変えてみると、黒板の字が見える。
――檜山らしい綺麗でまっすぐな文字。
面白味もないぐらいな、完璧な字。
ちょっと潔癖に近い、やんわりと壁を作っている笑顔。
そんなアイツが俺に、触れる。
キスをしてくる。
膝枕をねだる。
――なのに一週間会わなくても平気らしい。
賞味期限切れ近いプリン。
南野弟の仕掛けた罠。
話しかける話題はいっぱいある。
話しかなければならない話題はいっぱい……。
「でも俺から話しかけるのは腹が立つんですよね」
メールでも良いから奴から連絡があれば腹の虫が収まるものを。
放課後、進路指導室前。
大学推薦の面接指導をする時間。
偶然俺がそこを通って出会したら、檜山はどんな顔をするだろうか。
――授業中みたいな先生の顔か、
――俺の家でのだらしない顔か。
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