一粒  トラウマ

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「先生、好きです」 保健室で、今日の利用状況の整理をしていた時だった。 机から顔を上げず、無意識にため息が出てしまった。 俺はホモじゃない。 ただの女嫌いだ。 嫌い処か吐き気がするだけ。嫌悪感しかない。 「加賀美先生が好きです。俺ー……」 あの甘ったるい香水や無駄に肉がついた胸、 馬鹿みたいなミニスカート、艶々したグロス。 全て全て気持ち悪い。 「俺は、君は好きではありません」 『ただの生徒です。名前しか知りません』 そう毒を吐こうとして、その男子生徒を見上げた。 お前、 この前、彼女にフラれたと保健室に泣きついてきた3年じゃねーか。 熊みたいなばかデカイ身長のラグビー部の。 「先生のその冷たい目が、ヤバいんです」 ガタッ 腕を引っ張られ、か弱い俺はソファに崩れ落ちた。 その上にのし掛かってくる熊。 「お前、やめー……」 するとタイミングよく、保健室のドアが開いた。
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