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「…………」
じっと南野弟を見ると、ムッとこちらをにらみ返してくる。
俺には可愛いげのないやつなんだがな。
「お前、檜山のどこがそんなに良いんですか?」
「……加賀美せんせーなら分かると思うけど? 僕みたいにひねくれてるから」
「ふぅん。じゃあさっさと保健室から出て行きなさい」
ひねくれた奴の気持ちなんか分かるかっ
というか、俺はひねくれてない。やさぐれただけだ。
「檜山せんせーの良さって、誰でも受け止めてくれる事だけど、絶対に悪い事でもあるよね」
「だから、授業に戻りなさいって」
南野弟の心に秘めたものは俺には分からない。
だけど、あの檜山の家で初めてみた時感じた。
傷つかないように上手くたち振る舞っている姿。
心の傷を隠してるんじゃないのか、と。
目に見えないように。
俺だって女に襲われたなんて恥ずかしくて、誰にも知られたくないし。
南野弟は、檜山に助けられた。
俺は誰にも助けらて貰えなかった。
これが違いなのかな。
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