十一粒 挑戦 ー加賀美ー

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「…………」 じっと南野弟を見ると、ムッとこちらをにらみ返してくる。 俺には可愛いげのないやつなんだがな。 「お前、檜山のどこがそんなに良いんですか?」 「……加賀美せんせーなら分かると思うけど? 僕みたいにひねくれてるから」 「ふぅん。じゃあさっさと保健室から出て行きなさい」 ひねくれた奴の気持ちなんか分かるかっ というか、俺はひねくれてない。やさぐれただけだ。 「檜山せんせーの良さって、誰でも受け止めてくれる事だけど、絶対に悪い事でもあるよね」 「だから、授業に戻りなさいって」 南野弟の心に秘めたものは俺には分からない。 だけど、あの檜山の家で初めてみた時感じた。 傷つかないように上手くたち振る舞っている姿。 心の傷を隠してるんじゃないのか、と。 目に見えないように。 俺だって女に襲われたなんて恥ずかしくて、誰にも知られたくないし。 南野弟は、檜山に助けられた。 俺は誰にも助けらて貰えなかった。 これが違いなのかな。
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