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190センチを越え、無名弱小ラグビー部を県大会決勝まで導いた部長、南野 猛(みなみの たける)。
男子達からの人望はあるが、一日剃り忘れただけで髭がぽつぽつ生える、彫りの深い顔立ち。
――女子生徒にフラれては保健室で泣き崩れるメンタルの弱さ。
色々と課題の多い生徒だと思っていたが、女子にフラれて男に目覚めたのか?
「君の嗜好には口出ししませんが、レイプは犯罪ですから次は容赦なく推薦取り消しです」
「れ!? そんな事してません!!」
ガッと立ち上がり、見下ろす南野は確かに迫力がある。
「じゃあ加賀美先生の同意がありましたか? 先生は嫌がってませんでしたか?」
「――先生が気を持たせるから」
「君の勘違いでしょう」
恋に恋する夢見る少年には少々キツい言い方かもしれないが、こうでも言わなきゃ目は覚めない。
「だって! 他の女子には冷たいのに俺には優しかったから。
あんなの、誰でも勘違いするって」
真っ赤に染まった顔は年相応だ。
モテなさすぎて青春をこじらせたのかもしれない。
「じゃあもう、勘違いしませんね?」
俺は念を押すように微笑んだ。
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