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――今好きって言わなかった?
――えっ南野くんって先月彼女にフラれてなかった?
――確かに加賀見先生は綺麗だけど……ねー。
――相手にされるわけないよね。
雑音が耳を掠めて不快で堪らない。
全部、全部こいつが悪い。
「―――立て。甘えんな。くそ野郎が」
仕事中とか、生徒だとか、もう色々面倒だ。
「お前みたいなクズ野郎、一生誰も好きになんねーよ? 泣きゃあ許されるのか? 坊主にして出家するってポーズとれば俺の腹の虫は治まるのか?
お前、本当に薄っぺらい根性無し野郎だな!」
「ちょっと! 僕のお兄ちゃんを苛めないでよ」
「お前もこんな兄ちゃんで恥ずかしくないのか?」
苛々して髪をかきあげる。
その仕草を腕の隙間から見てるのがバレバレで尚苛々が積もる。
「だってお兄ちゃんは恋してるんだから仕方ないよ。恋って見苦しくて身勝手で、回りが見えなくなるんでしょ?」
こいつ。
さっきの仕返しか知らないが、わざとらしい言葉を狙いやがって!
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