十一粒 挑戦 ー加賀美ー

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「それに先生とお兄ちゃんなら『美女と野獣』みたいで、ロマンチックじゃん」 ねー?って回りに尋ねる南野弟だが、回りの反応も『……確かに』と反応が良い。 ふざけるな。 面白がられるのは沢山だ。 「じゃあ、もう帰りなさい。早退届は判を押して担任に渡しておくから」 「加賀見゛先゛生゛!!」 「ああ!もう! しつこい! ウザいです! 迷惑です!」 誰も居なかったら蹴り飛ばしてやりたい。 この意思の疎通が通じない珍獣に苛々する。 『可哀想』だの『言い過ぎ』だの聞こえてきた生徒たちを睨み付けると、すぐに目線を反らしていく。 わざとらしく、きょとんと首を傾げる南野弟にも腹が立つ。 だからガキは嫌いだ。 どうせつまらない噂が学校中に広まるんだろ。 好き勝手に憶測で物を言い、大袈裟に話を盛って笑いのネタに。 人の気持ちなど知らないで。 「騒がしいけど、何故席に着いてないのですか?」 このタイミングで来た、檜山。 それが何故、安心するのか。 安心した自分に迄、苛々する。
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