十一粒 挑戦 ー加賀美ー

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檜山の登場に、安心した生徒たちが廊下から教室へ次々に入っていく。 圧倒的な信頼感を見せつけられた気がする。 「南野くん。君は、加賀見先生に近づくなと先生は言いましたが、だからといって具合が悪いのに教室に居るのは違いますよ?」 「……ん゛だと!?」 「このクラスはスポーツ特待生のクラス。君の風邪が充満したらどれだけ迷惑になると思ってるんですか?」 「…………」 興奮して唸っていた南野兄は途端に俯いて静かになる。 檜山の有無を言わさない淡々としたしゃべり方は、ガキには中々の迫力にかんじるんだろう。 「おい、出るぞ、南野弟」 「えっ?」 「後は檜山に任せたら大丈夫だ」 ドアを指差して、俺は先に歩き始める。 「――御迷惑かけてすみませんね。加賀見先生」 檜山が此方を申し訳なさそうに見る。 「……別に。失礼します」 檜山のお陰で、最悪、俺が悪者になるような噂は流れないだろう。 檜山は事情を知っていて尚且つ俺に謝っているのだから。
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