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「いや、先生と南野くんは進路指導室へ」
……は?
なんで俺まで?
すっごくムスッと檜山を睨み付けながら、どす黒いオーラを放つ。
フラフラの南野兄は、今でも気を失いそうだし。
そんな中、檜山だけはにっこり笑う。
「で、君の処分を検討しますから何をしたのか教えて下さい」
「この取り調べもセクハラなんですけど?」
俺が冷たく言うが、檜山の貼り付いた笑顔は剥がれない。全く微動だにしない。
昨日大体察したはずのくせに、意外と執念深い奴だ。
「――俺は、ちゃんと南野くんにも伝えるべきだと思います」
「は?」
「彼、全然反省してないみたいですしね。どれだけ自分が罪深い事をしたのかを教えるべきかと思います」
それ、は。
それはつまり、俺に襲われた経験をこいつに語れと言う事か。
「本気ですか? 檜山」
「俺はいつも本気ですよ」
そうはっきり言われて、どう返事をしようかと考えながらどんどん体温は冷えていく。
俺は、
俺は、
誰にも知られたくなくて、
誰にも言いたくなくて、
女に襲われたなんて過去、
誰にも伝えたいわけなくて、
だから人と関わりたくなかったのにか?
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