十一粒 挑戦 ー加賀美ー

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「いや、先生と南野くんは進路指導室へ」 ……は? なんで俺まで? すっごくムスッと檜山を睨み付けながら、どす黒いオーラを放つ。 フラフラの南野兄は、今でも気を失いそうだし。 そんな中、檜山だけはにっこり笑う。 「で、君の処分を検討しますから何をしたのか教えて下さい」 「この取り調べもセクハラなんですけど?」 俺が冷たく言うが、檜山の貼り付いた笑顔は剥がれない。全く微動だにしない。 昨日大体察したはずのくせに、意外と執念深い奴だ。 「――俺は、ちゃんと南野くんにも伝えるべきだと思います」 「は?」 「彼、全然反省してないみたいですしね。どれだけ自分が罪深い事をしたのかを教えるべきかと思います」 それ、は。 それはつまり、俺に襲われた経験をこいつに語れと言う事か。 「本気ですか? 檜山」 「俺はいつも本気ですよ」 そうはっきり言われて、どう返事をしようかと考えながらどんどん体温は冷えていく。 俺は、 俺は、 誰にも知られたくなくて、 誰にも言いたくなくて、 女に襲われたなんて過去、 誰にも伝えたいわけなくて、 だから人と関わりたくなかったのにか?
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