十一粒 挑戦 ー加賀美ー

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この先の事を言えば、きっと駄目になるのは分かっている。 だが、檜山は『信じる』とは言った。 言ったが、俺がどれだけ傷ついているかなんて理解してなかった。 そんな奴の言葉なんて、俺を傷つけるだけの上っ面な言葉だ。 滅茶苦茶に心を切り刻まれた気分で不快だ。 「――早退届提出しておきますから」 「あ゛の゛先゛生゛お゛れ゛、お゛れ゛」 チーンッ 南野兄はマスクで力強く鼻を噛むと、それをポケットに仕舞う。 「俺が『先生が誘うから』って、先生を傷つける言葉なんですよね! すみません。すみませんでした!!」 体育会系さながらに、90度に体を畳むように謝られるとその潔さに苛々してしまう。 「こんな過去があるなら、襲わなかったんですか?」 そう尋ねると、熊のように唸る。 「好きだから、何をするか分からない……っす」 体を折り曲げたまま、ばか正直に答えられてため息しかでなかった。 「――救いようのない馬鹿ですね」
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