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「……もう、保健室に来ないで下さい」
「ユーリ、だから」
「ああ、俺が辞めます。こんな邪魔なやつ、辞めます」
乾いた心と乾いた心が、カサカサと重なりあう。
俺は『みんなの檜山せんせー』に何を期待してたのだろうか。
皆の憧れの檜山が、自分に夢中なんだと調子に乗っていたのだろうか。
「俺はお前の可愛い生徒たちに襲われる度に、面白おかしく過去の話をしなければいけないのだろう?」
「ユーリ、違います。俺は君にも南野くんにも、気づいて欲しくて。荒療治過ぎました。君の心の傷に触れました。
……嫉妬してたんだと思います。その、昨日、ユーリの心を乱した南野くんに」
「もう沢山です。もう人と関わるのは沢山。放って置いて下さい。君や南野兄がウザくて、ウザくて堪りません」
バッと腕を振り払ったら、檜山の手は簡単に振りほどけた。
檜山は、少し切なげに、そして自分の気持ちが伝わらずに苛立った表情を浮かべていた。
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