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「か、勘違いはしないけど、俺の気持ちは止まりませんから!!」
ああ。
これだから青春とやらは面倒臭い。
「で、その馬鹿に鉄拳の数発はお見舞いしたんですよね?」
堂々と煙草の臭いを撒き散らしながら、長い髪をかきあげ、不機嫌そうにそう言った。
「いいえ。先生を諦めないそうです。振り向かせたいと」
「っち。面倒臭い」
そう言って擦る加賀美先生の腕は少し赤くなっていた。
白い肌だから余計にそう見えてしまう。
細くて綺麗なその身体。
もう少しきつめに怒っても良かったかもしれない。
「大丈夫ですか?」
「ふん。もうあの熊は出入り禁止にします」
先生らしくない発言に眉を潜めてしまったが、まだ保険医になって二週間。
仕方ないことかもしれない。
「で、先生は金曜日飲みますから車では来ないで下さいね」
「は?」
「歓迎会します。部活の先生方は遅れますが参加者は……」
「俺は行きません。くだらない」
――いや。貴方の歓迎会ですよ?
「で、まだ臨時の保険医は決まらないんですか?」
……。まぁいいや。金曜日縛ってでも連れて行こう。
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