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「許してくれるなら、これからも保健室に行っていいなら」
――触れて。
そう真剣で悲痛な眼差しを俺に向ける。
ば、馬鹿じゃないんだろうか。
馬鹿だ。馬鹿。馬鹿野郎だ。
なんで俺が許して触らなければいけないんだ。
「――そこを退く選択肢は無いんですか?」
「無いです。本気だから」
「~~!」
言いたいことが在りすぎて、頭の中が爆発しそうだ。
「直ぐには……。時間を下さい」
「時間を置いたら、ユーリは悪い方向に考えるから駄目」
「――お前もう俺なんて放って置けば楽なのに」
もう苦しい。
人と関わるのに怯える俺も。
勝手に判断して勝手に傷つく俺も。
勝手な理想で俺を見つめるお前も。
「お前は俺の見た目から勝手に好意を寄せて、俺に理想を押し付けているだけですから!」
「いつ理想を押し付けましたか!」
怒鳴る檜山に目を見開くと、罰が悪そうに『ごめん』と呟く。
「と、にかくだ。お前なら昨日の可愛い女子高生みたいに女がいっぱい言い寄ってくれるだろ。もう俺は良いですから!」
そう視線を反らした瞬間だった。
ぐいっ
「綺麗な女性より、ユーリがいい」
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