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手の甲に、深く深く口付けられて檜山の柔らかい唇の感触を感じる。
ゾクッと恐怖が背中を走るが、それ以上に逸らさない檜山の視線に胸がざわめく。
愛しげに大切に、俺の手の甲に口づけしたまま見つめ合う。
「もう……離して下さいっ」
「怖い?」
震えながら頷くと、唇は離されたが手は握られたままだ。
「これからは、何が嫌とか駄目とか、これ以上踏み込んで欲しくない時はアピールして」
そう言いながら舌でペロっと唇を舐めているが、口づけされた自分からしてみたら舐められると複雑だ。
それに。
「お前、確か27歳でしたよね」
「はい。そうです」
最近までどうでも良かったけど、滝澤教授から聞いてしまったんだから気になるというか腹が立つから言わせて貰う。
「年上には公私どちらでも敬語を使えよ」
「へ?」
「俺はお前より年上です」
いつもクールな微笑みを絶やさない檜山の眼鏡がズレる。
「えっ 同じぐらいだと思ってたんだけど」
「俺もお前は偉そうだから年上か同い年かと思っていました。呼び捨ても無しで」
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