4233人が本棚に入れています
本棚に追加
/405ページ
「いいじゃん。仲良くなるには呼び捨てして。俺も浩二で」
「年上を敬え」
「敬っていたら、ユーリを振り向かせるなんてできない」
フフっと笑うと、朝とは打って変わって上機嫌な檜山が、やっと運転席前から退いた。
「南野兄を今、加賀美病院まで連れていったんですよ。で買い出し頼まれたので急いで帰りますね」
「はいはーい」
「ユーリも一緒に買い出しって事にしましたので」
「……あーあ」
なんであいつをウチの病院に。
滝澤教授もフォロー入れてくれたのに二人が庇うと俺がサボったとバレるだろうに。
「分かりましたから。さっさと戻ってください」
檜山が機嫌が良いと腹立だしいな。
こっちはこんなに心を掻き乱されて苛々するのに。
檜山の車が見えなくなるのを確認して、建物を見上げると滝澤教授がまだこちらを見ていた。
ニヤニヤと嬉しそうに。
舌を出してあっかんべーをすると、指を差して笑われる。
一頻りやりあった後に、職場へ戻った。
最初のコメントを投稿しよう!