十一粒 挑戦 ー加賀美ー

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「いいじゃん。仲良くなるには呼び捨てして。俺も浩二で」 「年上を敬え」 「敬っていたら、ユーリを振り向かせるなんてできない」 フフっと笑うと、朝とは打って変わって上機嫌な檜山が、やっと運転席前から退いた。 「南野兄を今、加賀美病院まで連れていったんですよ。で買い出し頼まれたので急いで帰りますね」 「はいはーい」 「ユーリも一緒に買い出しって事にしましたので」 「……あーあ」 なんであいつをウチの病院に。 滝澤教授もフォロー入れてくれたのに二人が庇うと俺がサボったとバレるだろうに。 「分かりましたから。さっさと戻ってください」 檜山が機嫌が良いと腹立だしいな。 こっちはこんなに心を掻き乱されて苛々するのに。 檜山の車が見えなくなるのを確認して、建物を見上げると滝澤教授がまだこちらを見ていた。 ニヤニヤと嬉しそうに。 舌を出してあっかんべーをすると、指を差して笑われる。 一頻りやりあった後に、職場へ戻った。
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